はなのかんばせ

だいがくいんせいのらくがきのーと

「さらば、愛の言葉よ」

 タイトルにある映画を見ました。前の記事で作品の感想を書くかは気分による、みたいなことを書いたのですがとても良いものだったので感想を書くことに。

 本作は2014年にカンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した、ジャン=リュック・ゴダール監督の作品です。3D映画として公開された本作ですが、僕が見たのは2Dの方ですね。再上映があれば、見に行きたい。

 ゴダールの作品を見るのは初めてで、というかフランス映画自体見るのは初めてだったのですけれど、自分の中のフランス映画という想像とは大分かけ離れていて思いの外楽しめました。(しかし、フランス映画が全部こんな感じだったら、僕はたぶんフランス映画を好きになれない)

 この作品では、2組の男女と犬を主軸として物語?が進んでいきます。この作品を物語と表現するのは、とても嫌なのですけれど他になんと表現すればいいのかよくわからないのでこの言葉を使うしかない。

 この作品のテーマは作品の表題にある、「言葉」。それと「他者」なのかなあと思った。人は人と出会うことで、言葉を生み、それはすなわち他者に晒されているということを意味しているということがゴダールは言いたかったのではないかと思ったりした。

 特に印象に残ったのは、男女が子どもを産むかどうか話すシーン。女性の方が、子どもはまだいい。犬ならいい、みたいなことを言っていたのがこの作品のテーマを象徴していたように思う。子どもを産むということは、女性にとって自分の中から新たな他者を生み出すという意味で、とても勇気のあることで。犬は、人間を自分よりも優先して愛する生き物なので、人間よりも接しやすい他者なのでしょう。ここでいう他者とは、生きる権利を人間によって承認されているもののことです。

 作品の最後に赤子の泣き声が聞こえてきて、犬が立ち去るシーンがあるのですが、そこで泣きそうになった。犬はもう必要なく、この女性は他者を受け入れる準備ができたというか、強さを持てたのだなと感動してしまった。

 正直、2回見ないと意味がよくわからなかった。3回見るとまた違った発見がありそう。とても良い映画でした。他者性に悩む拗らせてる人たちに見て欲しい。